第9回 「貼る」女性ホルモン、初体験
初出:ラブピースクラブ 2016年9月7日
前回は「頑固オヤジ系」の婦人科医さんが見つかり、数年中止していたHRTを再開したお話をしましたが、その後順調に続いています。
三年前はエストリオール錠を一日一回飲んでいましたが、今回は初めてのシールタイプです。
外性器の乾燥(乾きすぎて下着が当たるのも、お風呂で洗うのも、ローションをつけるのすら痛く感じて)、自律神経失調による不眠、動悸、筋肉のこわばり、等さまざま重なっての受診でした。
もちろんこれらの症状が何かの疾病によることもあるので、まず人間ドックで循環器等に問題が起きていないことを確認してからの婦人科外来です。
開始して一週間後にはあらゆる症状が軽くなりはじめ、二週間後の再診時には心も軽くなっていました。
かなりつらい毎日でしたから、処方してもらったエストラーナテープが、それはもう何よりも貴重で、なくさないように大切にしまい、「わずか直径3センチほど*1のテープ一枚で元気に仕事に行けるなんて、なんてありがたいのだろう!」と感謝の気持ちをこめて貼っていたのです。
しかし、人間って現金なもので、つらい症状がなくなってくると、薬の扱いも雑になってくるんです。
まあ、これは私の性格的な問題ですかね……。
一日おきの貼替えも、つい無意識に貼り替えていて、「あれっ? きのう替えたっけ?」と考えこむようになり、ある日気がついたらお腹の右と左に一枚ずつ、合計二枚貼っていることに気がつきました(笑)
前のテープを剥がさずに新しいテープを貼っていたんですね。
だらしないにも程があります……。
貼る場所ですが、どこに貼っても経皮吸収するので、
・腹部か臀部の人から見えないところで
・下着のゴムやベルトが当たらないところで
・激しく汗に濡れないところ
を選んで貼るといいと思います。
私は貼り薬でかぶれることが少ないので、いろいろな部位に貼って実験してみましたが、パンツより上の腹部に貼ったところ、ダラダラかいた汗が原因で一度だけかゆくなりました。
暑い夏は汗が流れる部位は避けたほうがいいでしょう。
ゴムやベルトの当たるところは、上げ下げ・摩擦が激しいとテープが剥がれることがあるので避けます。
摩擦以外の原因では剥がれにくく、入浴しても取れませんでした。
逆に、剥がして入浴して、お風呂から出てからもう一度貼っても、ちゃんと付きます。
先生の説明では、「飲み薬は肝臓で分解しないといけないが、経皮薬は肝臓負担が少ないから」ということでした。
また後で書きますが、私は過活動膀胱*2の治療薬も飲むことになったので、なるべく肝臓負担を少なくしてもらえるのは、とてもありがたいのです。
しかし、経皮薬でも薬には違いありません。
副作用などは経口薬と同じように存在しますので、気になる症状があったら必ずお医者さんに報告してください。
製薬会社がインターネットで公開している副作用には次のようなものがありました。*3
主な副作用として……乳房緊満感、乳房痛、不正出血、消退出血、帯下、貼った所の紅斑・かゆみなど
まれに報告されている副作用として……呼吸困難、蕁麻疹、全身けん怠感(アナフィラキシーの初期症状の可能性があります) 脚の痛み・浮腫、胸の痛み、息切れ(静脈血栓塞栓症や血栓性静脈炎の初期症状の可能性があります)
いずれの場合も、なるべく早く医師の診察を受けましょう。
忙しいと「これぐらいなら我慢できるから」と考えがちですが、次の受診予約まで待たずに電話して症状を話してください。
更年期治療はある程度の期間続けるものですし、いつ終わりにするかという判断もむずかしいものだな、といつも思います。
自分に合った治療法をお医者さんと相談して探す、ということを習慣にしていきたいですね。
女性ホルモン量の低下に起因する症状の中には、「まさか婦人科に行こうとは思いもよらなかった」というものが少なくありません。
私が更年期に悩んで悪化させた症状の中には、過活動膀胱(とそれが原因の不眠)、鬱、関節のしびれ・こわばり・変形などいろいろありました。
たまたまHRTを受けてから改善したので、「そうか、更年期だったのか」と原因がわかったのですが、それまではいろいろな科を受診しても解決できず、困っていました。
もちろん、何でもかんでも「女性ホルモンを投与すれば治るはず」と思いこむことは良くありませんが、原因を特定できない不調に悩んでいる方は、各科を受診することと並行して、エストロゲンの検査を受けてみるといいのではないでしょうか。
今回、三年ぶりのHRTを始めて二ヶ月ほどになりますが、肌の調子がよくなってきました。
夏の初めには、肌に老廃物がたまりがちで、一週間に一度は酵素洗顔とパックをしていましたが、今は必要なくなりました。
スーパーで売っている洗顔パスタで洗って、皮膚科でもらうヒルドイドローションをつけるだけです。
ケチでズボラな私にはぴったりです(笑)。
かつては一本15000円~20000円もするラインの化粧水、美容液、乳液、クリームを使い、それも肌が慣れると効かなくなってメーカーを変える、ということを繰り返していました。
もちろんそれらの化粧品に効果がないとは思いませんし、優れたものがたくさんあります。
しかし、お金をかけるだけが美肌法ではないんだなと、これは発見でした。
これは美容皮膚科の先生も認めていて、アンチエイジングで通院していたときに、「HRTは美肌や髪のためにも続けてくださいね」と言われました。
身体がつらくて、藁にもすがる思いで受けたHRTですが、こんなありがたい副産物もありました。
「美は健康から」って本当なんだな、とつくづく思い知った更年期でした。
*1 テープの大きさは薬剤の含有量によって違います。これは製品名「エストラーナテープ0.72mg」の場合で、含有量が小さいものはテープももっと小さくなります。
*2 排尿筋が過剰に活動して、頻尿や失禁に悩む症状です。原因はさまざまですが、血中の女性ホルモン濃度の低下も原因になり得ます。http://www.hainyou.com/w/sui/index.html
*3 QLife「お薬検索」より https://www.qlife.jp/meds/rx13761.html