第8回 久しぶりの婦人科外来で
初出:ラブピースクラブ 2016年8月3日
この年齢になってのまさかの「性交痛」。
「もうセックスなんてしなくてもいいんじゃない?」と言われてしまいそうですが、性交時どころかふだんから痛くてたまらなくなり、ついに病院に行くことにしました。
ここからが大変でした。
久しぶりの産婦人科外来、どこに行こうか迷いました。
産婦人科と一口に言っても、行ってみるとずいぶん雰囲気が違うからです。
明らかにお産中心の病院もありますし、性病検査を第一に謳っている病院もあります。
「更年期外来」「更年期治療」で検索してみたところ、アンチエイジングに特化している病院もあることを知りました。
東京の場合は病院がたくさんあって選ぶのに苦労しますが、地方ともなると、更年期治療をしてくれる病院がなかなか見つからない場合もあるようです。
私が女性のライフサイエンスについて学んだNPO法人女性の健康とメノポーズ協会のサイト*1にも、全国の更年期外来病院のリストがありました。
「医療機関、医療会員のご案内」を参考にされてみてはいかがでしょうか。
ただし、協会からのアンケートに回答があった病院等を中心にリストアップしているとのことで、ここに掲載されていない病院が更年期治療に消極的だという意味ではありません。
このリストにはない病院もふくめ、まず10軒ほどリストアップした中から、5~6軒の医療機関に電話しました。
人気がありすぎて予約が3ヶ月後までいっぱいの病院もありましたし、自分の仕事の休みが休診日のところ、自費診療のみのところ……更年期治療は一度の通院ではなく、長くかかり続けたいので、いろいろ考えてしまいますね。
結局、希望に合う病院は一軒しかなく、迷わずそこを予約しました。
完全予約制で、自宅からも職場からも通えて、更年期治療を謳っているところ―しかも、性交痛どころか日常的に外陰部が痛くなってきたので、直近で予約できるところにしたのです。
先生は男性でしたが、「そんなことはどうでもいい!」と思うまでに、日に日に痛みがひどくなってきていました。
性交痛を防ごうとローションをつけたらローションが沁みる、トイレットペーパーで拭くのも沁みる、ボディソープで洗っても痛い、しまいにはパンツが触れても痛い、左右の小陰唇が合わさるのも痛い……こんなことは生まれて初めてでした。
一日中、「あそこが痛い、あそこが痛い」と気になって仕方ないのです。
人間ドックで春に卵巣を診てもらったばかりですが、ドックでは超音波診断だったので、久しぶりの内診です。
先生は男の中の男って感じで頑固オヤジ系でした(笑)
看護師さんにもメチャクチャ厳しくて、口うるさい……でも、そのおかげで恥ずかしいとか考える余裕がなくなってちょうどよかったのですが。
「子宮癌の検査してる?」
「えっ、あの、全摘してます。38歳のときに」
「その後の癌検査は?」
「10年過ぎたので……もういいかなって……」
先生の言っていることがわからず、内診台でおまたを開いたまま「?」でいっぱいです。
正直、「問診票に書いたじゃん! 読んでなかったのかしら?」と思ったりしました。
でも先生、怖いから私もなんだかオドオドしちゃって、後は沈黙(笑)
内診が終わって先生から聞いたのは、
「子宮を全摘しても、取った後の部位が癌になることがある」
みたいなお話でした(もっと専門的な言葉だったのですが、ちんぷんかんぷんですみません)。
19年前の手術当時はそんなお話は聞いていなかったので、早速検索してみると、
「子宮頸癌根治手術後の再発症例では扁平上皮癌、骨盤内再発で予後不良な可能性」
という記事*2を見つけました。
2013年に日本産科婦人科学会の学術講演会でこの発表があったとのこと。
「書いたじゃん」なんて思ったりして申しわけなかった~、と反省。
結局、癌は(-)、膣内の細菌も(-)で、今回はひと安心でした。
しかし、私はもう子宮がないのだから乳癌だけ検査すればいい、と思いこんでいたので、この通院は大変勉強になりました。
また、膣内はそこまで乾燥していないのに、外陰部とくに小陰唇が痛い、ということもわかりました。
白色ワセリンをもらって、保湿のために小陰唇に塗ることに。
顔は怖いけれどちゃんと答えてくれる先生なので安心し、トイレが近くて困っていることや眠りが浅くて夜中に何度も目が覚めることも相談したところ……
「HRTはいつ頃やってたの?」
「4年前に7ヶ月やって中止しました」
「何でやめたの? それが原因だよ」
というわけで、3年半ぶりにHRTを再開することになりました。
当時は錠剤が主流でしたが、今回は貼るタイプのシールです。
小さい! しかも貼ると目立たない(かぶれ防止に毎回位置を変えているので、どこだっけ?と探すぐらい目立たないのです。笑)、効果は48時間持続し、貼ったまま入浴しても取れない優れものです。
開始から10日ほど過ぎましたが、小陰唇の痛みは和らいできました。
そして驚いたことに、膣から白いおりものが出てきたのです。
「ああ! 忘れていたこの感触!」という感じでした。
若いころは、これが出るのがイヤで、股間にぬるっと感触があるのがイヤで、下着が汚れるのがイヤでうんざりしていたものです。
でも、このヌルヌルが外陰部を擦れから守ってくれていたんですね。
今回はとりとめないお話になりましたが……
女性特有の医療も日進月歩で新しい成果が発表されているのです。
痛みと乾燥があまりにつらくて病院に行きましたが、そうでなければ子宮摘出しても骨盤内に癌が再発するなど、大切なことを知らずに過ごしていたと思います。
このコラムを読んでくださっている皆さんも、相談しやすいお医者様をぜひ見つけてくださいね。
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*1 NPO法人女性の健康とメノポーズ協会
http://www.meno-sg.net/
*2 日経メディカルOncology http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/gakkai/sp/jsog2013/201305/530533.html